令和6年度から「週休2日制」の積算基準が改定されました。「月単位の週休2日制」の補正係数が新設されたことで、ワーク・ライフ・バランスに考慮した働き方に沿う形での工事費を算出できるようになりました。工事成績評定への影響も含まれており、国土交通省の主導による働き方への変化が感じられます。
2024年5月現在では、国土交通省発注の工事における積算に特に影響がある改定内容ですが、次第に地方自治体でも実施されると予想されるため、今のうちに改定内容を把握しておくと良いでしょう。また、工事成績評定での加点を積極的に狙う際にも、注目したい内容です。
「週休2日」の定義は、工事によって異なります。補正係数についても、それぞれの方式で「通期」「月単位」の値が異なるため、注意が必要です。
週休2日に関する工事は、主に以下の2つです。
違いは、技術者および技能労働者が交替しながら、4週8休以上の休日確保に取り組んでいるかどうか、という点です。
1.「現場閉所による週休2日制適用工事」の週休2日の定義は以下のとおりです。
月単位の週休2日 | 対象期間内の全ての月において、現場閉所日数の割合(現場閉所率)が、28.5%(8日/28日)以上となる現場閉所を行ったと認められる状態をいう。 |
通期の週休2日 | 対象期間において、現場閉所率が28.5%(8日/28 日)以上となる現場閉所を行ったと認められる状態をいう。 |
続いて、2. 「週休2日交替制適用工事」の週休2日の定義を見てみます。
月単位の週休2日 | 対象期間内の全ての月において現場に従事した技術者及び技能労働者の平均休日数の割合(休日率)が、28.5%(8日/28 日)以上となる休日確保を行ったと認められる状態をいう。 |
通期の週休2日 | 対象期間において、休日率が、28.5%(8日/28 日)以上となる休日確保を行ったと認められる状態をいう。 |
つまり、閉所された日数(率)で考えるか、休日の平均数(率)で考えるかの違いです。また、月単位と通期の違いは、「毎月」適用されるかどうか、という点にあります。
令和6年度の補正係数を以下にまとめました。令和7年度以降は、実施状況などを踏まえて検討がされるようです。
現場閉所による週休2日制 | 週休2日交替制 | |||
月単位 | 通期 | 月単位 | 通期 | |
労務費 | 1.04 | 1.02 | 1.04 | 1.02 |
機械経費(賃料) | 1.02 | 1.02 | - | - |
共通仮設費率 | 1.03 | 1.02 | - | - |
現場管理費率 | 1.05 | 1.03 | 1.03 | 1.01 |
なお、すべての土日を閉所する「完全週休2日制(土日)」もしくは、対象期間の全ての技術者及び技能労働者が月単位の週休2日を達成している週休2日交代制の場合、補正係数は上表と同様となりますが、工事成績評定で加点がされます(次章を参照)。
週休2日制(月単位)に取り組む上で、加点対象および減点対象になる場合について、以下にまとめます。
加点対象となるケース | 減点対象となるケース | |
現場閉所による週休2日制 | 対象期間で、すべての土日を閉所した場合=完全週休2日制(土日) | 明らかに月単位の週休2日に取り組む姿勢が見られなかった場合 |
週休2日交替制 | 対象期間で、すべての技術者および技能労働者が月単位の週休2日を達成した場合 |
加点されるには、よりハードルの高い完全週休2日制を採用する必要があります。また、「受注者希望方式」の場合は発注者への確認が必要です。
取り組む姿勢によっては減点対象となることがありますので、注意が必要です。
参照元:
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